根木珠たまねぎ日記|(旧 There's No Blog)

電子書籍を個人出版している根木珠、思考を垂れ流す。(旧Don't Believe Everything You Read)

掌編「ポエム集」

ポエム1/4

小説家が、雲の上から、ぽいぽいと本を投げてくれる。
読者たるぼくは、それをありがたく受けとる。
そんな日々が続いていた。
ある日突然、天が割れ、するすると小説家が降りてきた。
ぼくは階段をのぼると、手を伸ばした。
もう少し、というところで、
なにか、そこにはなにか、見えない壁があり、
小説家には届かなかったが、
ぼくは本を、受けとった。
戸惑いながら。
その本を、おそるおそるぼくは読んだ。
小説家の見ている世界を、その時初めて、ぼくは見た。
その世界にぼくは、入っていった、入っていくと、戻ってこられなかった。
二度と外へは出られない。
本のなかに、ぼくはいる。


ポエム2/4

あの娘は笑った。
違和感を覚えた。
何か不自然さを、
感じさせる声で、
その娘は笑った。
これは嘘だ。
作り物だ。
彼女の、
精一杯の、
空元気だ。
心配をかけないように、
気を遣って、
明るく、元気な、
ふりを、している。
ぼくは、少し、かなしくなって、
だけどなにも言えなかった。
なにも言わずにいた。
そしてあの娘は、
鳥になりたいとよく言っていたあの娘は、
空を、飛んだ。
自由への、渇望、切実な、それは。


ポエム4/3

僕は改札を通る。
友は先へ行っている。
改札が音を立てた。
磁気カードの残高不足。
友は、振り返らない。
僕は、呼ばなければ、と思う。
こちらに気づかない友が、
どんどん先へ、行ってしまう。
どんどん、どんどん、どんどん。
ああ、だけど。
声が、出ない。
行ってしまう、呼ばなければ、行ってしまい、呼べなくて、声が、声が、出なくて、でなくてこえがそしてぼくはだから、




ポエム4/4

 かつてこの地には、アンパンという先住民がおった。しかし、侵略者によって、破壊、強奪、蹂躙された。

(了)