手首がぼとりと落ちた。
私はそれを見て、またかと思った。
私の手首はよく落ちるのだ。

中学生活は、それなりではある。
友達はいないが、一人でいるのが好きなので困らない。勉強もそこそこできる。
そんな私だが、この手首のよく落ちるのには閉口した。
体育の授業で鉄棒などやると間違いなく外れるので、逆上がれたことがない。
少しくらい重いものならば持てるが、バランスを崩すともうダメである。だから騎馬戦はいつも上に乗る。騎馬になると私の手首が外れ、崩れて他の人が怪我をするためだ。つい先日も犠牲者を追悼したところだった。

そう、体育祭の練習をしているのだ。
私たちは。この暑いなかわざわざやるなんて頭がどうかしているのではないかと思う。
となりのほうから声がした。
なんだと思ったら先輩だ。
何してるんだ?
いや練習ですよわかるでしょう。
さっきから……手首を外したり装着したりしているようにしか見えないが……。
そ。そんなふうに見えるのか。
以降気をつけよう……。
ぼとり。
あっ……、手……。

(了)