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根木珠たまねぎ日記|(旧 There's No Blog)

電子書籍を個人出版している根木珠、思考を垂れ流す。(旧Don't Believe Everything You Read)

掌編

掌編「シャーマン」

かつてこの地には、シャーマンがいた。これは当時の話である。 老人はそう語り出した。 私は、メモを取りながら、ときどき唸ったり、驚嘆したり、信じられないような気持ちで聴いていた。 シャーマンの名はボーといった。村の人々が病にかかれば治してやり、…

掌編「ネギトロー」

「おうおうおう、今日こそは両耳きっちり揃えて貸したネギ返してもらうぞハァアン!?」 ネギ貸しがシロウのもとへやってきた。 「ひいい、勘弁してつかぁさい! おっ母が病気で薬も買えねぇんでさぁ」 シロウは嘆願するも、相手は容赦しない。 「知るか! 人…

掌編「玉ねぎ茄子ピーマン寒ブリ小説」

ある日、玉ねぎさんが歩いていると、道端で茄子さんとピーマンさんが喧嘩をしておりました。 玉ねぎさんは、二人の間に割って入り、「おいおい、おまえら、喧嘩すんじゃねえよ」 となだめました。 茄子さんとピーマンさんは慌てて、「あっ、玉ねぎの親父!」…

掌編「毒入りひなあられ事件」

「犯人は、あなたですね、権田原さん」「な、なにを根拠にそんなことを言うんだ岸谷! 許せん!」「このひなあられに毒を入れられたのは、あなたしかいないからです」「なんだと……? 昨夜はおれは一人きりで部屋に閉じこもっていたんだぞ。部屋に戻ったのが…

掌編「感情に紐付けられた記憶」

食堂でひとり本を読んでいると、他人の会話がきこえてくる。否応なく耳にねじ込まれるようで、私は不快になる。 彼らの事を、心の中で蔑んでいるくせに、面と向かえば媚びるように笑う。そんな自分に気づかされるから、どうしようもなくイライラする。その場…

掌編「ポエム集」

ポエム1/4小説家が、雲の上から、ぽいぽいと本を投げてくれる。読者たるぼくは、それをありがたく受けとる。そんな日々が続いていた。ある日突然、天が割れ、するすると小説家が降りてきた。ぼくは階段をのぼると、手を伸ばした。もう少し、というところで、…

掌編「神隠し」

男は道に迷った。 歩いていると民家があった。 寄ってみることにした。声をかけると返事があった。 中から若い女が出てきた。 男は事情を説明した。招じ入れられ男は家に入った。 女は名をハナといった。 二人は話した。一夜明け、男は再び出発した。 まだ薄…

掌編「手首」

手首がぼとりと落ちた。 私はそれを見て、またかと思った。 私の手首はよく落ちるのだ。 中学生活は、それなりではある。 友達はいないが、一人でいるのが好きなので困らない。勉強もそこそこできる。 そんな私だが、この手首のよく落ちるのには閉口した。 …

掌編「眠り続ける人の話」

夕方のチャイムの音で目が覚めた。どれくらい眠っていたのだろう。計算する気にもなれない。体がだるい。腰が痛い。頭がぼんやりする。頭や背中が痒い。頭を掻くと、白いものが落ちた。ふけが黒いスウェットに映える。体を掻こうとすると指がかさぶたに触れ…

翻案 浦島太郎 B面

校舎裏、カツアゲ現場。不良「出せよ、あんだろ金」亀 「いえ……」不良「おい亀、そこでジャンプしてみろ」亀 「ひっ」亀、跳ぶ。チャリンチャリンという音。不良「やっぱあんじゃねえか」突然、男の声。男「何してんだ、おまえら」不良たち、振り向く。「あ…

翻案 浦島太郎 A面

1 いじめられている亀を助ける かつてこの地には、亀を助けたのに最後はおじいさんになってしまった浦島太郎という不憫な人がいたのらしい。 シゲルは得意になって話している。ユウキは、ふうん、と相づちをうつ。 思うに、とシゲルは続ける。 あの亀も街の…

「白本」・「黒本」がAmazonKDPで出ました。

前略 秋晴れと 乾燥した肌がかゆい (詠み人知らず) こんにちは、根木珠です。ゆきなって呼んでね。 このたびめでたく、過去の作品をただかき集めただけのショート・ショート集が出ました。 題名は「根木珠掌編集・白」と「根木珠掌編集・黒」です。 「白本…

ショート・ショート「死後」

ある夏、僕は熱中症で死んでしまった。 まったくやりきれない。 今までいろいろあった人生の最後が、熱中症だなんて。 著者略歴に書くとすれば 一九八三年、埼玉県に生まれる。二〇XX年、自宅マンションにて熱中症で急逝。 悪ふざけとしか思えない。「未練…

予告

贋作 神話 | reading でんでんランディングページで、予告作ったよ。

掌編「目」

「こっち見なさい」 母は私の目を、真っ直ぐ見て叱る。「普通は、こういうときなんて言うの?」 私は考える。わからない。答えられない。「ごめんなさいでしょ!」 母の手に力が入るのがわかる。私の肩を掴んでいる。 私は呼吸を整える。そして、「ごめんな…